東京地方裁判所 昭和44年(特わ)47号 判決 1969年7月19日
本店所在地
東京都台東区松が谷四丁目二一番二号
株式会社 辰已屋
右代表者代表取締役
松本勝義
本籍
東京都台東区松が谷四丁目三四五番地
住居
東京都台東区松が谷四丁目二一番二号
会社役員
松本勝義
明治三九年二月二七日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官板山隆重、弁護人寺坂吉郎出席の上、審理して次のとおり判決する。
主文
被告会社を罰金二五〇万円に、被告人松本勝義を罰金四〇万円に各処する。
被告人松本勝義において右罰金を完納することができないときは金五、〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社辰已屋は、東京都台東区松が谷四丁目二一番二号(ただし、昭和四〇年三月一日住居表示の実施前は同区入谷町三四五番地)に本店を置き、製菓原料の卸売等を営業目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、被告人松本勝義は被告会社の代表取締役として同会社の業務一切を統括していたものであるが、被告人松本勝義は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、あるいは架空仕入を計上して簿外預金及び簿外貸付信託を蓄積する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ
第一、昭和四〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が九、三九五、二五五円であつて、これに対する法人税額が三、二九六、二二〇円であつたのにかかわらず、昭和四一年二月二八日同都台東区東上野五丁目五番一五号所在の所轄下谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八七四、〇六〇円の赤字で納付すべき法人税額は零である旨の虚偽の法人税額確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額三、二九六、二二〇円を法定の納付期限までに納付しないで免れ
第二、昭和四一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一六、三一〇、二一六円であつて、これに対する法人税額が五、四二四、五三〇円であつたのにかかわらず、昭和四二年二月二八日前記下谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、四七一、二四六円で、これに対する法人税額が三五二、五九〇円である旨の虚偽の法人税額確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額五、〇七一、九四〇円を法定の納付期限までに納付しないで免れたものである。
(判示各年度における所得の確定内容は別紙第一及び第二の各修正貸借対照表記載のとおりである。)
(証拠の標目)
一、被告人の当公判廷における供述
一、被告人の上申書七通並びに大蔵事務官に対する質問てん末書四通及び検察官に対する供述調書五通
一、登記簿謄本二通
一、大蔵事務官寮甦三郎の
イ、銀行調査書類
ロ、定期預金残高及び収入利息調査書
ハ、第百生命保険相互会社に対する保険関係調査書
ニ、貸付信託調査書
ホ、保険料関係調査書
ヘ、社長仮払金、仮受金調査書
一、大蔵事務官小林晋作成の買掛金、仕入金額調査書
一、大蔵事務官松本彊作成の所得税納付状況等調査書
一、大蔵事務官宮寺福平作成の証明書
一、大蔵事務官神原睦夫作成の法人税額計算書三通
一、押収してある以下の証拠(いずれも当庁昭和四四年押第五七七号、末尾のカツコ内はその符号番号)元帳及び総勘定元帳五綴(1の1ないし5)、仕入帳三綴(2の1ないし3)、所得税源泉徴収簿(8)手帳一冊(13)、売上帳一冊(17)、コンビナート造成土地代金支払通知書一袋(25)、協同組合関係書類等一袋(28)、法人税決定決議書綴一綴(44)
(法令の適用)
被告人松本につき、法人税法一五九条一項(各罰金刑選択)、刑法四五条前段、四八条二項、一八条。
被告会社につき法人税法一五九条一項一六四条一項、刑法四五条前段四八条二項
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 小島建彦)
別紙第一の1
修正貸借対照表
株式会社辰已屋
昭和40年12月31日
<省略>
別紙第一の2
<省略>
別紙第一の3
<省略>
別紙第一の4
<省略>
別紙第二の1
修正貸借対照表
株式会社辰已屋
昭和41年12月31日
<省略>
別紙第二の2
<省略>
別紙第二の3
<省略>
別紙第二の4
<省略>
別紙第二の5
<省略>